薬膳について

歴史

薬膳の歴史は古く、紀元前、日本では卑弥呼の時代から、食を薬として利用してきました。最初の薬膳は、「酒」だったと言われています。その後まもなく中国では何百種類もの食薬が記録され、経験的に発展していきましたが、それはまさに東洋の栄養学であり、大昔から中国では調味料を含め動物性食材や植物性食材のバランスを考えた食生活が営まれていました。

 

診断法と治療法

まずは中医学の「陰陽五行学説」や「気血津液弁証」等により、診断(弁証)を行います。そしてその診断に対する治療(論治)を食薬によって行い、食材を選びます。

 

改善効果の見込める症状

中医学の診断に沿って行う治療ですので、あらゆる病気、症状に対して行うことができます。ただし、現在日本国内で食材として入手可能な食薬は限られていますので、足りない部分は漢方で補うことになります。

 

また、犬と猫においては、お肉やお魚などのタンパク源が多く必要となるため、野菜の薬膳的役割にも増して、お肉やお魚の薬膳的役割に注目することも重要です。食材をトッピングとして食事に加える方法もありますが、食事の中心に薬膳の考え方を取り入れると、より高い効果が見込める可能性があります。

 

口内炎で口の痛みがあり、食欲がない猫ちゃんがいました。その猫ちゃんは、うなぎだけは食べたのです。うなぎなんて高級なものを・・・と苦笑いしながら、ご家族はうなぎを買ってきてあげるのですが、うなぎは実は、痛みに対する薬膳的作用があるのです。この猫ちゃんは、病気がありながらも、自分に必要な食材をちゃんとわかっていたとしか思えない、的確な本能で、食べるものを選んでいたのではないでしょうか。

もし、その子自身に、食材を選ぶ力が備わっていたとしても、私たち人間の家族が、それを与えてみなければ、犬や猫は選ぶことすらできません。その子に必要な食材を用意してあげるのは、私たち人間にしかできないことなのです。

 

一般的な治療期間、費用等

薬膳は、どちらかというとこの方法のみで治療を行っていくものではなく、病気として体に症状を起こしてしまっている段階においては、漢方治療などと併用しておこなっていくことが多いと思います。なぜなら、現在の日本で入手可能な食薬は限られているからです。

 

ただし、「未病」の状態にあり、今後症状が出る心配がある場合に、それを防ぐために、また、日常的なケアとして、この方法を取り入れていくということは有用だと思います。

 

費用に関しては、専門の動物病院の受診料、中医学的な診断料、食事と薬膳の指導料などが必要となってくるかと思います。また、基本的には普段の買い物の範囲で入手可能な食材を利用することが多いと思われます。

 

文責:獣医師 木原友子(木原ペットクリニック)

参考書籍:「薬膳素材辞典 健康に役立つ食薬の知識」 辰巳洋 源草社